2021年6月28日月曜日

メンタルヘルス/心理カウンセリングの目的と効果



メンタルヘルス/心理カウンセリングの第一の目的は、カウンセラーと対話することで、自身の考えや感情の気づきを深め、各々の潜在的な問題解決の能力を認識し、実用化させることにあります。このプロセスから身についた考え方や対処法を活かし、これから先の人生における困難な状況に対応していくことで、自信に繋げることができます。

メンタルヘルス/心理カウンセリング本来の目的­­­­それは、焦らずカウンセラーと適切な関係を築き、ゆっくりと自身の深い考えや感情を明確にすること、そして、自己能力や可能性への気づきを高めていき、様々な困難な状況への対処法・解決策を導き出すことです。しかし、日本人にとって、カウンセリングはまだまだ馴染みが浅いため、本来の目的が正確に認識されていないことも多々あります。例えば、困難な状況で、アドバイスを求めてカウンセリングに行ったが、カウンセラーが実用的なアドバイスをくれず、もどかしかったという経験はありませんか?カウンセリングでは、カウンセリングを受けに来られた方(クライアント)の意思、感情、考えを元に、どうしたいのか、何ができるかなどを共に考えて対処法を見出していくことが大切なのです。カウンセラーの感覚や考えを元にアドバイスをすることは、クライアントにとって一時的な解決にしか成りえません。それでは、この先の困難や問題を対処するための自己能力に気づくことができず、自身の向上に繋げることは難しくなります。

カウンセリングの本来の目的や効果を得るためには、まず、カウンセラーとの関係が最も重要になります。様々な研究結果から、効果的なカウンセリングに必要な要素の約50パーセントは、カウンセラーとの関係にあることが知られています。第一に、クライアントがカウンセリングの場において安心できることが大切です。安心してカウンセラーを信頼することができれば、批判を感じず自由に思ったことや感じたことを話せる環境を得られます。そうした環境では、罪悪感を抱くことなく、ゆっくりと心を開いて自分を見つめ、更に深い考えや感情に気づく余裕を持つことができます。こうしたカウンセラーとクライアントの間に適切な関係が築けられると、長年蓄積した複雑な問題においても、カウンセリングによって少しずつ解決へと向かうことができます。

ではカウンセリングでは、すぐに問題の解決策を見つけることはできないのかと思われるかもしれませんが、一言でカウンセリングと言っても、様々な理論やアプローチがあります。例えば、比較的短期のカウンセリングでは、主に現在の特定の問題に焦点を当てることで、早期問題解決を図ることも可能です。また、それぞれの問題やクライアントの意思・要望によって、カウンセリングの方法も様々です。カウンセリングはクライアントのためのものなので、常にクライアントの意思や要望を尊重し、了承を得た上で、それぞれの方法を試みることができます。クライアントが納得し、快く受けられるものが本来のメンタルヘルス/心理カウンセリングであり、その効果が期待できるのです。


高田尚恵:米国内大学・大学院において心理学学士号、メンタルヘルスカウンセリング修士号取得。全米認定カウンセラー認定証保有。大学()生を対象にカウンセリングを行っている。また、オンラインカウンセリングサービス、「セラピオン」(Therapion ) の日本チームメンバー。

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